2023年12月期第1四半期決算ポイントをまとめています。
=============================================
■決算概要
=============================================
第1四半期(1月~3月)の決算サマリです。
売上655億円、営業利益109億円、経常利益119億円、最終利益は39億円と、前年同期と比べて増収減益の決算となりました。売上高は、インフラ、金融が過去最高となるなど大きく伸長しました。一方、利益はタイの証券事業における貸倒引当金の追加計上などにより減益となりました。なお、最終利益の下げ幅が大きくなっていますが、こちらは前年に投資有価証券の売却があったことによる反動減によるものです。
株主還元
株主還元の基本方針は、総還元性向50%となります。このうち配当に33%以上、残りの17%を自己株式の取得にあてるというものです。
1株あたりの配当金の推移
今期も業績予想を非開示とさせていただくことから、配当金についても四半期ごとの発表となります。第1四半期の配当金は12.2円となります。
強み ①自社開発・運用
強みの1つ目は、「自社開発・自社運用」へのこだわりです。インターネットという変化の速い市場で生き残るため、No.1サービスを提供するためには、自ら創って自ら運用する、モノづくりの会社でなければならないと考えています。重要になるのは、エンジニア、クリエイター、ディレクターといいったモノづくりに関わる人です。
2023年3月末のパートナー数は7,300名を超えていますが、このうち創る人の比率が50.3%となっています。この創る人比率に初めて目標を設定したのは、2011年のことです。当時の目標値は50%でした。そして、この値を投資家の皆さまにお示ししたのは、2014年2月。当時の値は37.1%でした。目標値である50%の達成が見えてきたということもあり、60%に引き上げたのが今年の2月となります。そして今回初めて最初の目標であった50%を超えてまいりました。
インターネットの時代は感性の時代です。素晴らしいクリエイターを増やし、「UI/UX・クリエイティブのGMO」と言われるようにならないとだめだと思っています。モノづくりの会社としての成長を続けて参ります。また、4月には新卒パートナー58名が加わっています。例年に比べ少なく感じられるかもしれませんが、「新卒年収710万プログラム」「地域No.1採用」という優秀な方々だけに入社していただこうという方針に転換して、その初年度です。この新しい仲間とともに日本のインターネットを支えてまいります。
強み ②岩盤ストック収益
前期で14期連続増収増益を達成することができたのは、創業以来、岩盤ストック収益を積み上げてきたからだと考えています。これは、インターネットが続く限り「無くならない、無くてはならない」かつ「継続課金の商材」からもたらされるストック収益だということです。
連結売上高の推移
創業以来、持続的成長を実現してまいりました。
売上高を岩盤ストック収益とそれ以外に分解したものです。赤線は連結売上高に占める岩盤ストック収益の比率です。岩盤ストック収益には、インフラ事業における継続課金型収益と継続課金に近い岩盤収益基盤を持つトランザクション型収益を含めています。ご覧の通り、岩盤ストック収益こそが我々の持続的成長を支えています。
岩盤ストック収益を単価と件数に割り戻したものです。単価、件数ともに拡大を続けています。足元の1,301億円という岩盤ストック収益は、「年間の単価 約1万円」×「約1,300万件の契約件数」から生み出されます。そして、契約件数は足元でも毎日約1万件の新規の申し込みをいただいています。解約もあり純増ベースでは小さくなりますが、インターネット上の情報量、トランザクション量が拡大するにつれて、今後も拡大していくものと考えています
インフラ契約件数の状況です。岩盤ストック収益を支える岩盤収益基盤と言い換えることができます。3月末では1,352万件となっています。過去の年度末の推移を見ると、およそ年間81万件ペースで増加しています。単価については、上昇傾向であることを考えると1万円強となり、掛け合わせるとおよそ年間100億円近い売上が積み上がっていく計算となります。どうぞご期待ください。
前年同期から売上高計上ルールが変更になりましたが、1番下、濃いブルーのインフラを中心とした成長トレンドが継続しています
金融事業でタイ証券事業での引当金の追加計上があり、対前年では減益となりました。短期的に見るとボラティリティはあるものの、インフラの岩盤ストック収益をベースとした持続的成長という見方はまったく変わっていません。
====================================
インターネットインフラ事業
====================================
ドメイン、クラウド・ホスティング、ECプラットフォーム、SSLサーバー証明書、電子印鑑、サイバーセキュリティ、決済、アクセスと、いずれもインターネット社会にとって「無くならない、無くてはならない」、No.1サービスの集合体です。
四半期売上高は最高業績を更新しており、セグメント全体の増収率が再び加速しています。こうしたトレンドの中、この四半期は21%を超える特に強い数字が出ています。
主な要因は2つ。まず、水色の決済事業です。GMOフィナンシャルゲートで展開する対面決済分野において大口案件を獲得し、stera端末の販売が加速したことにあります。次に、グリーンのセキュリティ事業です。前年第2四半期からグループジョインしているGMOサイバーセキュリティ byイエラエが需要期であったことで、大きく数字を伸ばしています。
四半期営業利益は、岩盤ストック収益の積み上がりに伴い、最高業績を更新しました。また、イエラエも需要期ということもあり、この四半期は黒字に転換しています。
戦略事業として、グループをあげて展開している暗号セキュリティ「GMOサイン」の事業進捗についてです。これまでご案内している通り、契約者数だけでなく送信件数でもNo.1となっています。
2020年5月にコロナ禍においてグループをあげて取り組んだ「さよなら印鑑キャンペーン」以降も、いわゆるネットワーク効果、グループシナジーによる顧客基盤の拡大が続いており、3月末では125万件となっています。
大手企業さまへの導入も順調に進んでおり、この4月には三菱UFJ銀行さまと業務提携を締結しています。三菱UFJ銀行さまのWeb法人口座を新たに開設されたお客さまを対象に、GMOサインをお得にご利用いただけるキャンペーンを実施しています。
送信件数は、お客さまの「アクティビティの高さ」を示す最重要KPIと捉えています。順調に拡大しており、契約社数と合わせて二冠達成となりました。
GMOサインは、デジタルガバメントへの取り組みも強化しています。「自治体導入でもNo.1」に向け、すでに30を超える公共団体への導入が決定しています。契約社数、送信件数と合わせて三冠達成を目指し、さらなる成長へつなげていきます。
GMOインターネットグループはすべてのスペック・価格でNo.1サービスの提供をモットーとしています。しかしながら、昨今の電気料金高騰、円安進行、世界的な半導体不足などの状況で、コスト削減など自助努力だけではこの影響を吸収することが難しい状況となりました。
つきましては、ご覧の通りの内容で価格改定を行うことにしました。「サービス維持調整費」については、恒常的な値上げではなく、サーチャージ課金のようなものとなり、市場動向に応じた見直しを予定しています。お客さまからの反応ですが、継続率、新規の申し込みについては特段の影響は見られません。業績影響については、売上費用ともに期間按分されるため、徐々に効果は現れ、業績影響は軽微と考えています。
=============================================
インターネット広告・メディア事業
=============================================
四半期売上の推移とその内訳です。
ネット広告は回復する広告需要を取り込んだことに加え、自社商材の取り扱いも拡大し、好調なトレンドが続いています。メディアも、自社メディアのPV数の伸びが引き続き好調に推移しています。
営業利益については、2020年をボトムに回復基調が続いています。自社メディア、リサーチプラットフォームなど利益率の高い自社商材が拡大する、というトレンドが続いています。
一方、取引拡大に伴う外注費の増加や、前年の人財投資による人員増から営業関連費用が増加したことに加え、広告配信費用の一時的な増加もあり、対前年では減益となりました。
=============================================
インターネット金融事業
=============================================
四半期業績の推移はご覧の通りです。第1四半期はFX取引が活発に推移し、また内部取り組みの強化により収益性が改善したことで、売上高は四半期最高を更新しました。利益については前年第4四半期に続き、タイ証券事業での引当金15億を計上しましたが、対前年で3.1%増益となりました。
商品別の売上高の推移です。
濃いブルーのFXでは収益性が改善し、コロナ禍で活況であった2021年第4四半期を上回る水準となりました。また、薄いブルーのCFDはコモディティ関連指数の活発な取引を受け、過去最高の売上高となりました。
また、4月17日には外貨ex byGMOにおいてもCFD取引の提供を開始しました。我々の強みであるデリバティブ取引を各社で提供することで、積極的にクロスセルを行ってまいります。
こちらはFX事業の売上高と取引高の関係を示したグラフです。2022年は円安進行に伴い、取引高が急増した一方、売上高は減少しました。2022年第4四半期以降、収益改善施策を強化していることで、取引高は減少したものの収益性が改善しています。結果として足元の取引シェアは低下していますが、より良いプロダクトにすることでここからシェアを積み上げていく、という考え方で各施策に取り組んでいます。
=============================================
暗号資産事業
=============================================
暗号資産事業は、マイニング・交換・決済、3つの事業を展開しています。
四半期売上高の推移とその内訳です。
交換事業は、低調なマーケット環境の中、売買代金が前年同期比で大きく減少するのに伴い、売上高も減少しました。世界的に逆風が吹く中、銘柄追加や顧客獲得に努め、口座数は堅調に推移しています。
四半期営業利益の推移です。
売上高の減少に伴い、当セグメントでは損失が続いています。暗号資産取引高の減少が継続しており、利益を出しにくい状況が続いています。
マーケティング投資については引き続き抑制した形での運用を継続しています。引き続き、内部的な施策を淡々と継続し、再度マーケットが活況になった際には利益を出せる体制を構築してまいります。
=============================================
トピックス
=============================================
サイバー攻撃が喫緊の社会課題、経営リスクになってきています。DX・オンライン化の進展で、今後ますます加速するセキュリティのニーズに応えるべく、こちらをセキュリティ事業のスローガンとして掲げ、安全な国家社会の実現に貢献してまいります。
セキュリティ事業の3つの領域
セキュリティ事業は、3つの柱で構成されています。
①認証技術を活用したSSLなどの「暗号セキュリティ」
②日本最強のホワイトハッカー集団による「サイバーセキュリティ」
③ドメイン・商標のプロによる「ブランドセキュリティ」
日本最強のホワイトハッカー集団「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」
今回は、2022年1月にグループジョインした「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のアップデートについてお話しします。
サイバーセキュリティ 導入事例
GMOサイバーセキュリティ byイエラエの最大の強みは技術力です。「攻撃者の視点」を有するホワイトハッカーが行う脆弱性診断を、国内外の幅広い業界・業種の企業さまにご利用いただいています。
実績はこのようになっています。国内外のコンテストでNo.1になっているほか、政府、警察庁、防衛省が対策を本格化する中で、サイバーセキュリティの教育・研修のお手伝いをしており、技術支援に対し感謝状を頂戴しています。
新サービス「GMOサイバー攻撃ネットde診断」
「GMOサイバー攻撃ネットde診断」は、ドメインを入力すると自動でそのWebサイトに穴がないかどうかをチェックし、判定結果をスコアリングしてお知らせするSaaS型のプロダクトです。誰でも簡単に、高いセキュリティ水準でサイトの安全性を診断できます。月額料金は980円ですが、2023年12月末までは無料でご利用いただけます。
グループシナジー
インフラの1,352万件の顧客基盤は、様々な規模のお客さまがいらっしゃいますので、それぞれのお客さまのセグメントに応じてイエラエのサービス・プロダクトをクロスセル、クロスユースしていくことを考えています。
大口のお客さまには、業界業種特化型のプロジェクト型サービス、銀行を対象とした「GMOサイバーセキュリティ for 銀行」、社会インフラを担う企業を対象とした「GMOサイバーセキュリティ for 社会インフラ」を、プッシュ型の営業で展開しています。
中小企業から大規模中堅企業に対しては、ホワイトハッカーの知見を落とし込んだSaaS型プロダクトである「GMOサイバー攻撃ネットde診断」を、プル型の営業で展開していこうと考えています。
サイバーセキュリティ 中長期成長イメージ
イエラエの既存事業及び業界業種特化型のサービスはプロジェクト型であり、ホワイトハッカーの人数に応じて事業がスケールします。こちらについては引き合いも大変強く、ホワイトハッカーの採用、教育も続けていますので、今後も堅調な伸びを期待しています。
事業をスケールさせるのに必要なのは、やはりSaas型のプロダクトです。「GMOサイバー攻撃ネットde診断」を筆頭に、インフラ顧客基盤とクロスセル、クロスユースを進めることで、No.1サービス同士のシナジーにより事業をスケールさせてまいります。
ChatGPTへの取り組み
ITはドッグイヤー(犬の1年が人間の7年。進化の速さを犬の成長に例えた俗語)、で7倍速いといわれていました。それがこのAIの登場により、100倍速くなったという印象を持っています。つまり、1ヶ月の遅れは100ヶ月の遅れということです。
スピード感がとにかく重要だということを社内に周知徹底しており、3月にはグループでのChatGPTの業務活用を開始し、「ChatGPT業務活用コンテスト」の開催も決定しました。こうした積極活用の動きもあり、すでにご覧のサービスでAI機能の提供を始めています。
GMOインターネットグループは、「AI活用No.1企業グループへ」をスローガンに、AIを積極的に経営に取り入れてまいります。
AI時代においても、生産性の向上やコスト削減を通じてNo.1サービスをお客さまに提供してまいります。どうぞご期待ください。
すべての人にインターネット