2023年12月期第2四半期決算ポイントをまとめています。
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■決算概要
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第2四半期(4月~6月)の決算サマリです。
売上644億円、営業利益96億円、経常利益106億円、最終利益は24億円と、前年同期と比べて減収減益の決算となりました。要因は主に2つあり、1つ目は前年にインキュベーション事業で投資先株式の一部売却により100億を超える利益貢献があったこと、そして2つ目は特殊要因による押し下げがあったことです。この特殊要因については、のちほど説明をします。また、最終利益の下げ幅が大きくなっていますが、こちらも前年に持分法適用会社の株式の売却益があったことによるものです
インフラ、金融で売上・利益を積み上げましたが、特殊要因による押し下げ、前年度のインキュベーション事業の大型イグジットの影響があり、連結では50億円の減収、101億円の減益となりました。
特殊要因
この四半期の特殊要因についてご説明します。
GMOペパボのグループ会社で展開しているファクタリングサービス「FREENANCE」。そして、GMOフィナンシャル・ホールディングスのタイのグループ会社で展開する信用取引事業。この金融関連の2つの事業で、いずれも大口顧客に対する不良債権が発生し、ご覧の金額の貸倒引当金を計上することとなりました。
要因と対策
どうしてこのような問題が起こってしまったのか、その本質はグループガバナンスにあると捉えています。
グループの規模拡大に伴い、グループガバナンスの不徹底が起きてしまいました。問題が発生してしまったそれぞれのグループ会社において要因や課題の特定、対策の実施を行うことはもちろんですが、グループ管理の観点からも、グループガバナンスの課題として再発防止策に着手しています。
その対策ですが、まず、私たちGMOインターネットグループが大切にしている、一般の会社でいうところの社是社訓にあたる「GMOイズム」の徹底。これが第一で、次にグループ会社を管理するGMOインターネットグループ株式会社のグループ管理部門の強化。そして「ビジネスリスク委員会」を立ち上げ、静的なリスク委員会ではなく、より能動的、プロアクティブにビジネスリスクを検証していくというプロジェクトを立ち上げています。
GMOペパボとGMOフィナンシャル・ホールディングスの取り組みについてはご覧の通りです。詳細は各社の決算説明会資料をご覧いただければと思います。
1-6月の累計数字
前年同期と比べると、増収減益の決算となりました。主な要因は先ほどの説明と同様、前年のインキュベーション事業での利益貢献、そして今期の特殊要因による押し下げによるものです。
株主還元
株主還元の基本方針は、総還元性向50%となります。このうち配当に33%以上、残りの17%を自己株式の取得、消却にあてるというものです。
1株あたりの配当金の推移
今期も業績予想、配当予想を非開示としています。このため、配当金についても四半期ごとの発表となります。第2四半期の配当金は、7.5円となります。
自己株式の取得・消却の進捗
予定している総額15.1億円の取得に対し、ご覧のように順調に進捗しています。
強み ①自社開発・運用
強みの1つ目は、「自社開発・自社運用」へのこだわりです。インターネットという変化の速い市場で生き残るため、またNo.1サービスを提供するためには、自ら創って自ら運用する、モノづくりの会社でなければならないと考えています。重要になるのは、エンジニア、クリエイター、ディレクターといいったモノづくりに関わる人です。
2023年6月末のパートナー数は7,300名を超えていますが、このうち創る人の比率が49.9%となっています。この創る人比率に初めて目標を設定したのは、2011年のことです。当時の目標値は50%でした。そして、この値を投資家の皆さまにお示ししたのは、2014年2月。当時の値は37.1%でした。目標値である50%の達成が見えてきたということもあり、60%に引き上げたのが今年の2月となります。
インターネットの時代は感性の時代です。素晴らしいクリエイターを増やし、「UI/UX・クリエイティブのGMO」と言われるべく、モノづくりの会社として成長を続けてまいります。また、4月には新卒パートナー58名が加わっています。「新卒年収710万プログラム」「地域No.1採用」という、優秀な方々だけに入社していただこうという方針のもとで第1期生となります。この新しい仲間とともに日本のインターネットを支えてまいります。
強み ②岩盤ストック収益
前期で14期連続増収増益を達成することができたのは、創業以来、岩盤ストック収益を積み上げてきたからだと考えています。これは、インターネットが続く限り「無くならない、無くてはならない」かつ「継続課金の商材」からもたらされるストック収益だということです。
連結売上高の推移
創業以来、持続的成長を実現してまいりました。
連結売上高の分析
売上高を岩盤ストック収益とそれ以外に分解したものです。赤線は連結売上高に占める岩盤ストック収益の比率です。岩盤ストック収益には、インフラ事業における継続課金型収益と継続課金に近いトランザクション型収益を含めています。ご覧の通り、岩盤ストック収益こそが我々の持続的成長を支えています。
岩盤ストック収益を単価と件数に割り戻したものです。単価、件数ともに拡大を続けています。足元の1,301億円という岩盤ストック収益は、「年間の単価 約1万円」×「約1,300万件の契約件数」から生み出されます。そして、契約件数は足元でも毎日約1万件の新規の申し込みをいただいています。解約もあり純増ベースでは小さくなりますが、インターネット上の情報量、トランザクション量が拡大するにつれて、今後も拡大していくものと考えています。
インフラ契約件数の状況です。岩盤ストック収益を支える岩盤収益基盤と言い換えることができます。6月末では1,417万件となっています。商材ミックスの変化もあるため、増加ペースは一様ではありませんが、過去の年度末の数字をご覧いただくと、おおよそ年間81万件ペースで増加している計算となります。単価については上昇傾向であることを考えると1万円強となり、掛け合わせるとおおよそ年間100億円近い売上が積み上がっていく計算となります。今後もご期待ください。
セグメント別売上高
前年同期から売上高計上ルールの変更がありましたが、1番下、濃いブルーのインフラを中心とした成長トレンドが継続しています。
セグメント別営業利益
インフラの岩盤ストック収益をベースに、高収益な金融事業による持続的成長という見方はまったく変わっていません。
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インターネットインフラ事業
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インフラ事業の事業内容は、ドメイン、クラウド・ホスティング、ECプラットフォーム、SSLサーバー証明書、電子印鑑、サイバーセキュリティ、決済、アクセスと、いずれもインターネット社会にとって「無くならない、無くてはならない」、No.1サービスの集合体です。
四半期最高業績を更新しており、この四半期も16%増と強い数字が出ています。主な要因は、水色の決済事業です。GMOフィナンシャルゲートで展開する対面決済分野が好調に推移しました。大口案件の貢献が1Q、2Qにあったことに加え、ロングテール向けもキャッシュレスのニーズを捉え、好調に推移しました。
四半期営業利益はFREENANCE事業での貸倒関連費用の計上があり、増益率は1桁台に留まりました。
暗号セキュリティ
戦略事業として、グループをあげて展開している暗号セキュリティ「GMOサイン」の事業進捗についてです。契約社数だけでなく、送信件数でもNo.1となっているのはご案内している通りです。
2020年5月にコロナ禍においてグループをあげて取り組んだ「さよなら印鑑キャンペーン」以降も、いわゆるネットワーク効果、グループシナジーによる顧客基盤の拡大が続いており、6月末では146万件となっています。
大手企業への導入も順調に進んでおり、まだまだ市場拡大フェーズと考えています。また、当社のコスト優位性をご評価いただき、他社から乗り換えの事例も見られています。
送信件数は、お客さまの「アクティビティの高さ」を示す最重要KPIと捉えています。不動産業など、アクティビティの高いお客さまの利活用が順調に拡大し、売上成長に繋がっています。
GMOサインについては、デジタルガバメントへの取り組みも強化しています。「自治体導入でもNo.1」に向け、すでに60の公共団体への導入が決定しています。契約社数、送信件数と合わせて三冠達成を目指し、さらなる成長へつなげていきます。
価格改定について
GMOインターネットグループはすべてのスペック・価格でNo.1サービスの提供をモットーとしています。しかしながら、昨今の電気代高騰、円安進行、世界的な半導体不足などを受け、コスト削減など自助努力だけではこの影響を吸収できない状況となりました。
つきましては、ご覧の通りの内容で価格改定を行っています。「サービス維持調整費」は恒常的な値上げではなく、サーチャージ課金のように市場動向に応じた見直しを行います。お客さまからの反応ですが、継続率、新規の申し込みについては特段の影響は見られません。業績影響についても、更新のタイミングで価格改定後の契約に徐々に切り替わること、切り替わっても売上・費用ともに契約期間で按分され、効果が徐々に現れることから、業績影響は軽微となっています。
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インターネット広告・メディア事業
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四半期売上の推移とその内訳です。濃いブルーのメディアは自社メディアのPV数の増加を受け堅調に推移したものの、薄いブルーのネット広告では、活況だった前年より一部業種の反動減が見られたこと、アドネットワーク広告の単価下落を受け、軟調な推移となりました。
売上と同様、自社メディアは堅調に推移しましたが、広告代理でのインセンティブの剥落に加え、人員増などから費用が先行し、対前年では減益となりました。
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インターネット金融事業
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四半期業績の推移はご覧の通りです。この四半期は、FX取引が引き続き好調に推移し、また内部取り組みの強化により収益性の改善が継続していることで、売上高は過去最高を記録した第1四半期に次ぐ高い水準となりました。一方、利益については前年の第4四半期以降、タイ証券事業での貸倒引当金の繰り入れが発生しており、当四半期においても約9億円計上しましたが、対前年28.9%の増益となっています。
濃いブルーのFXでは収益性が改善し、売上高は増加しました。また、薄いブルーのCFDは、コモディティ関連の活発だった前四半期比では取引高が減少したものの、主力の商材となってきました。今後も我々の強みであるデリバティブ取引を各社で提供しながら、積極的にクロスセルを行ってまいります。
昨年の一方向の円安進行により、取引高が拡大したフェーズと比較して、この四半期は取引高が減少しましたが、昨年の第4四半期以降取り組んでいる収益性の改善施策により、売上高は増加しました。収益性が改善した一方、取引シェアは低下しています。
今後は収益率を上げて、その得られた利益をお客さまに還元することでより良いサービスにして、多くのお客さまにお取引いただくという戦略により、中期的に取引シェアを戻してまいります。
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暗号資産事業
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暗号資産事業は、マイニング・交換・決済、3つの事業を展開しています。
交換事業は、低調なマーケット環境のもと、売買代金とともに売上高も減少しました。世界的に逆風が続く中、銘柄追加や顧客獲得に努め、口座数は堅調に伸びています。
売上高の減少に伴い、当セグメントでは損失が続いています。取引高自体の減少が継続しており、利益を出しにくい状況が続いています。こうした中、マーケティング投資については抑制した形での運用を継続しています。マーケット環境は引き続き厳しい状況が続くと見ていますが、内部的な施策を淡々と継続し、再度マーケットが活況になった際に利益を出せる体制を構築しています。
サイバー攻撃が喫緊の社会課題、経営リスクになってきていると、これまでお話ししてきました。メディアでも、サイバー攻撃への対策強化に向けた国内外の政府・機関の動きを報じるものが増えてきています。
当社グループでは、DX・オンライン化の進展で今後ますます加速するセキュリティのニーズに応えるべく、
こちらをスローガンとして掲げ、安全な国家・社会の実現に貢献してまいります。
セキュリティ事業は、3つの柱で構成されています。
①認証技術を活用したSSLなどの「暗号セキュリティ」
②日本最強のホワイトハッカー集団による「サイバーセキュリティ」
③ドメイン・商標のプロによる「ブランドセキュリティ」
今回は、2022年1月にグループジョインした日本最強のホワイトハッカー集団「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」のアップデートについてお話しします。
GMOサイバーセキュリティ byイエラエの最大の強みは技術力です。「攻撃者の視点」を有するホワイトハッカーが行う脆弱性診断を、国内外の幅広い業界・業種の企業にご利用いただいています。また、グループシナジーにより、銀行との取引も順調に拡大しています。
国内外のコンテストでNo.1となっているほか、政府、警察庁、防衛省が対策を本格化する中で、サイバー部隊の教育・研修をお手伝いしています。このように、技術支援に対し感謝状も頂戴しています。
2023年から脆弱性調査・研究チームを新たに立ち上げ、参加した世界的なセキュリティコンテスト4つすべての大会において、日本チームとしてNo.1を獲得しました。
また、公共機関との取り組みでは、IoTフォレンジック技術を用いた解析で捜査協力を行い、長野県警察本部より感謝状を頂戴しました。
今後も、国内外のセキュリティコンテストへの挑戦で技術を磨き、サイバーセキュリティ分野での技術的な支援を通じて、サイバー攻撃から日本を守ることに貢献してまいります。
SaaS型プロダクト「GMOサイバー攻撃ネットde診断」は、ドメインを入力すると自動でそのWebサイトに穴がないかどうかをチェックし、判定結果をスコアリングしてお知らせするものです。誰でも簡単に、高いセキュリティ水準でサイトの安全性を診断できます。
5月には経済産業省が「ASM導入ガイダンス」を発表しました。ASMは、Attack Surface Management(アタック サーフェス マネジメント)の略で、サイバー攻撃から自社のIT資産を守るための手法として注目されています。「GMOサイバー攻撃ネットde診断」は、このASMにカテゴライズされるツールとなります。
足元では、シェア拡大をテーマとしています。月額料金は980円ですが、12月末までは無料でご利用いただける、というのは前回ご案内した通りです。また、9月以降を目処にグループ商材とのAPI連携を予定しています。「GMOサイバー攻撃ネットde診断」を、次の「無くならない、無くてはならない」サービスとすべく取り組んでまいります。
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トピックス
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AIへの対応
GMOインターネットグループでは、3つテーマに基づいてAIへの対応を進めています。
①時間とコストの節約
②既存サービスの質向上
③AI産業への新サービス提供
時間とコストの節約につながるか、今提供しているサービスやご利用いただいているお客さまの質向上につながるか、私たちそのものがインターネットのインフラを提供する企業グループとしてAI産業の発展に関わる新サービスを提供するか。この3つに関係していることのみ取り組んで参ります。
①時間とコストの節約
生産性向上に向けては、まずグループパートナー全員がAIに慣れ親しんで、実際に業務に活用していくことが重要だと考えています。まずはAI教育の強化として、最新動向や最新ツールの理解を深めるべく、SNSで積極的に情報発信されているこのお二方を顧問にお迎えし、社内オンラインセミナーを月2回のペースで開催しています。
また、AI業務活用に向けては、賞金総額1,000万円とする「ChatGPT業務活用コンテスト AIしあおうぜ!」を開催し、社内のAIに関する取り組みや新サービスへ繋がるアイデアを募っている他、実際にAIリテラシーの向上、業務活用に繋がっているかを計るために、グループ全パートナーを対象に、AI利活用度合いの判定テスト「GMO AI パスポート初級」を実施することとしました。こうした取り組みを通じて、AI活用に対する意識改革を進め、時間とコストの節約に繋げてまいります。
②既存サービスの質向上
機能強化に向け、「文章生成AI」「画像生成AI」の組み込みが、インフラ、広告メディアの各サービスで始まっています
③AI産業への新サービス提供
GMOインターネットグループでは、自らもAIを活用した新規サービスを開発してまいりますが、AI産業を支えるインフラとなるサービスについても順次リリースしています。ゴールドラッシュにおけるジーンズ、スコップ、ツルハシにあたるものです。
その1つが、GPUホスティングサービス「ConoHa for AI」です。大規模言語モデルや生成AIモデルを開発する場合、多くの計算リソースが必要となります。そしてサーバーへの巨額の初期投資など、設備投資等が課題となります。
「ConoHa for AI」は、国産のホスティング事業者として長年にわたり培ってきた大規模インフラ技術・ノウハウをベースに、NVIDIA社の最新GPUを搭載したホスティングサービスです。トライアル版の提供を8月中旬に予定しており、年内の正式版サービス提供を目指しています。
GMOインターネットグループは「AI活用No.1企業グループへ」をスローガンに、AIを積極的に取り入れてまいります。
AI時代においても、生産性の向上やコスト削減を通じてNo.1サービスをお客さまに提供し、AI産業の活性化に貢献してまいります。どうぞご期待ください。
すべての人にインターネット